電車運転理論入門

01 はじめに

ホーム 103系の為の運転理論 鉄道ピクトリアル2010年6月号運転理論に異議あり 

運転理論なんて簡単

 運転理論と言えば、すごく難しそうに感じるんだけど、小学校の四則演算が出来れば、誰だって計算ができる程度のものなんだけど、計算の元になる各車両の性能図が一般には公開されていないし、加速の時にどの程度のパワーを使うかを示す限流値の値なども調べるのに苦労するので、少し敷居が高いように感じてしまう。
 しかし、手順は非常に簡単なので、是非とも覚えていってもらいたい。

どんな計算をするのか

 電車が走り始めて止まるまでの運動を数値化するわけだが、それらは公式に値を当てはめていけば良い。また加速時の計算では少し区間ごとの走行距離や走行時間を出していかなければならないが、それ以外の部分ではかなりばっさりと計算してしまっている。
 また、曲線や勾配ではそれなりに抵抗がかかるので、そういう計算も行っていく。とりあえず覚えておかなければならないのは下記の3つで、これらを応用する形で運転曲線図なども書いていくことができる。

加速計算

 電車が走り始めるときや、ある速度から更に速度を高めるときなどの計算。主に、モーターの力と電車の編成重量にて計算されるが、その計算結果に勾配等の列車抵抗を差し引いて最終的な値を出す。

惰行計算

 電車はある一定の速度まで達すると、多くの場合はモーターを止めて惰行運転をする。その場合、列車抵抗によって徐々に速度が下がっていくのだが、その時の計算を行う。主に編成重量・編成両数・列車抵抗が計算に必要になる要素だ。

ブレーキ計算

 最終的に電車は停止しなければならないので、ある速度から停止までの計算を行う。厳密に言えば車輪をブレーキシューで押しつける空気ブレーキやモーターに電流を流してその抵抗をブレーキにする電気ブレーキの各々のブレーキ力を足して計算しなければならないのだが、実際のブレーキ時の運転士の操作は、加速時と違ってブレーキを一定で停止まで行う事はまずありえない。よって、このブレーキ時の計算は、平均減速力という簡単な数値化によって行われる。細かい計算はせずに減速度2.25km/h/sにて60km/hから停止するまでの時間と距離などを計算する事になる。

どんな部分まで扱うのか

 ここでは、上記に記した加速計算・惰行計算・ブレーキ計算を元にするが、基本的には「平坦線」を元に計算をすすめていく。実際に車両が走る場合は、勾配も曲線もない平坦な路線だけを走る事はあり得ず、またモーターの性能に直接関連する架線電圧なども変動したりするのだが、ここではそういう要因は省いてしまう。
 あくまでも、理論値としての比較をするのが第一の目的だからで、実際の運転のシミュレートまでは少し難しいかも知れない。ただ、上の計算が出来れば、例えば起動後すぐに25パーミルの勾配が200m続いてと言うような局面でもそこを独立して計算することで対応は出来る。
 対応は出来るが、計算が煩雑になるために、今のところそこまで突っ込んではやっていないが、いずれは画面上に形式とか乗車効率とかを入れて、条件設定を複数入れる事で、ウェブ画面上で自動計算できるような事もやりたいなと思っている。
 それまでは、基本の状態で平坦線を走っている場合の計算になる点はご了承願いたい。その数値を見比べるだけでも様々な事はわかってくるのだから。
 また元が103系のサイト内のコンテンツである点も踏まえ、制御方式については抵抗制御・電機子チョッパ制御と界磁添加励磁制御あたりが中心になる。界磁チョッパについては、力行は抵抗制御で代用がきくが、回生率の計算は素人ではたぶん無理で、実際に線路上を走らせて初めてわかっていたのが実情のようだ。
 無理だと言うのは、回生のための諸条件が不明だからで、同一き電区間に他編成が起動状態で存在するかどうかというのは、ダイヤにもよるしね。統計学的に考えるとある程度出るようだけど、そもそもき電区間長を知る事が今のところできないので、どうにもならないです。
 VVVFなどの制御方式については性能曲線図が国鉄車に比べて出回っていないという欠点がありますので、今のところは扱いません。209系とかE231系とかと103系や201系を混ぜて考えたいってのもあるのですが、ここではまず国鉄時代をしっかりと見つめ直していきたいと思っています。

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